Wi-FiやBluetoothをはじめとした電波を発生して通信を行う機器は、日本国内での利用においては通称「技適」と呼ばれるものを取得しなければなりません。 よく聞く「技適」ですが、具体的にはどんなものなのか調査しました。
技適とは
まず、前提として電波を発生し無線通信を行う機器を利用する場合、電波法に基づき免許を取得する必要があります。 これはWi-FiやBluetoothなどにおいても適合します。 しかし、「技術基準適合証明」(技適)を取得した機器の利用においては、免許が不要となり利用することができるわけです。 日本で無線機器を正式に利用する場合は「技適」がある機器を利用しなければならないわけです。
技適が無い製品
「IoT」という言葉が流行り、「HomeKit」対応製品も粛々と流通してきています。 しかし、日本においてはまだまだ製品数が少ないわけです。
それは、主に電子機器の製造でシェアが高い中国の各メーカー方針で以下のみの取得にとどまっているからです。
日本の技適は通常取得する様な方針とはなっていないと聞きます。 シェアの面で日本は切り捨てられているのか、技適の取得の難易度が高いのか。
技適がない製品を利用した場合
技適がない製品の利用が判明した場合、電波法の違反となり、罰金や懲役といった具体的な罰則の対象となります。 そのため、HomeKit製品を利用する我々は当該製品に技適が取得ずみかを確認する必要があるわけなのです。
これは重要なことであり、最近のIoTブームで技適未取得の製品が多く出回る可能性があります。 そこは冷静になり、判断をする必要があるわけなのです。
技適がない製品を輸入した場合
一方で、技適がない製品を輸入した場合、現状は特に罰則というものはありません。 そのため、技適なしに海外の製品を輸入して平然と販売する輸入業者が出てくるかもしれません。
これについては、被害を受けるのは利用者だけなのです。 そのため、利用者は冷静な視点で判断する必要があるわけです。
ただし、2016年頃に改正・新規制定された電波法で、輸入業者についても技適の無い製品の輸入を抑制する努力義務が制定されています。 現状はあくまで努力目標というものであり、具体的な罰則はありませんが、総務省は悪質な業者に対してこの法令により不正な輸入業者の状況把握と業務改善を支持できる様になっています。
昨今のIoTブームで無線機器を使う側が悪いという観点も少しずつ変わり始めています。 もしも、技適に関する被害に遭われた方は総務省に相談してみる価値はあります。
技適だけでいいのか
技適は電波法に基づき、その電波が他の設備に悪影響を出さないかを証明しているといえます。 それは、機器同士が通信をするトランシーバの様な装置では、技適の取得のみで問題ないでしょう。
しかし、IoT機器においては技適の取得だけでは不十分なのです。
技適は電波に関する証明になります。 その一方で、IoT機器の様にネットワークを介し、様々な基地局などを通信が行き来することで様々な情報にアクセスする様な機器は別途取得が必要なものがあるのです。
- 技術基準適合認定
▲こちらが必要になります。 一般的に技適とは電波法に関する規定になりますが、「電気通信」に関する認定が必要な場合はこちらの認定が必要になるのです。 具体的には通信を行うことで、サーバにアクセスする装置の場合は、そのサーバに悪影響を及ぼさないかといった内容になるわけです。
▲よく見る技適のマークですが、実は二つの証明を受けています。 マークの横の「T」の文字が電気通信に関する認定です。これがあればネットワークに接続する機器として日本国内の利用が許可されていることを意味します。 マークの横の「R」の文字が電波法に関するものなわけです。
- トランシーバならば「R」
- IoT機器ならば「T」「R」の両方
ということになります。
技適未取得の製品をどうしても日本で利用したい
技適を未取得でも素敵で魅力的な商品は多数存在します。 そのため、なんとかして利用したいものですが、試す価値がある方法が2つ存在します。
技適の取得をメーカーに依頼
製造メーカーに技適の取得を依頼する方法があります。 ただ単に、個人利用のために技適取得依頼をするのはハードルが高いと思いますが、技適取得により日本で売れる見込みなどを説明できればメーカーとして対応いただけるかもしれません。
技適を自分で取得
メーカーが対応できなければ自分で取得してしまえば良いのです。 その場合、大前提として日本の規格に適合した機器である必要があります。 もし適合しない場合は機器を加工する必要が出てくるわけですが、それは流石に現実的ではないですね。
まとめ
声高々に言わせていただきたいのですが、HomeKitが遅れてるとか市場のIoT製品がいまいちとかそんなことはありません。 すでに素晴らしい製品は多数存在しています。 しかし、日本国内での利用を考えると「技適」というハードルがあり、また、その知識について多くの方が不足しています。
自信を持ってお勧めできる商品であれば、こちらから技適の取得をアクションするのも手ではあります。